一日一つ、変わってく

上京して働く業務システム開発エンジニアのブログ

なぜベンチャーに入って失敗したか-打算的な良し悪しで職場を選ぶな-

僕は新卒入社した企業を2か月で退職することになった。
これは、ある種、一人の人間と企業との出会いとしては、ミスマッチ、意図せざる結果である。

もちろん、ほぼ全ては僕の思慮不足、自己理解の足りなさが招いた結果である。
入社先には迷惑をかけた。

では、そもそも自分は内定定受託したとき、どのような見通しをもっていたのか。

入社して初めて気づいたことはどのようなことだったのか。
なぜ、「入る前」は分からなかったのか。

その原因を掘り下げて、今後の反省の糧にでもしよう。

いつ頃内定を受託したのか

僕が、前職のA社の内定を受託はかなり早いタイミング。3月にもなる前だった。

そんな早くに就活を終えたしまったのは、
実際に働いてみないと、自分がどんな仕事をやりたいのかなんて分からないのではないか、と諦めていたからだ。
僕が就職活動ーインターンシップに参加したり、新卒の求人広告を眺めたりしている期間は1年以上。

A社の内定を受託する時点で、就活を始めてから1年以上の時間が経過していた。
その時感じていたのが「これ以上就活を続けても、働くことや自分の適性についての理解が深まる気がしない」ということ。

どれだけ、企業を選ぶ軸を考えても、自己分析なることをしてみても、これ以上入社先と自分のマッチング率を上げられないと思ってしまった。絶対的に入りたいと思える企業も存在しなかった。だから、A社の内定をもらったときは、「もうここでいいだろう」という思考だった。やっと就活が終わる。
人事との話や、会社の説明を見る限りでは、自分は会社に合うのではないだろうか、と思ってしまった。

今思えば、もう少し就活を続け、複数内定を得たうえで、選択しても良かったと思う。
その方が、ミスマッチは減らせるに違いない。結果として、A社の内定をいただいた時点で就活をすぐに止めてしまったので、他の会社と比較しなかった。そういうことを行っていれば、入社する前に、自分と会社との合わない部分、違和感を抽出できたのかもしれない。

ものすごく打算的に職場の良し悪しを考えていた

自分が何をやっているときに喜びを感じ、どんな時に悲しみを覚えるのか、そういった部分を考慮しないままに決めていた。もっと、「好き嫌い」で選んでよかったかと思う。

ほんとに、徹頭徹尾状況論の、職場の良し悪しの話しかしていない。こんな仕事が好き、こんな事業が好き、こんなビジネスが好き、という、自分の価値観を考えることなくした意思決定。

いま思えば、
「どんなビジネスをやっているか」「どんなやり方で拡大しているか」「そのビジネスを自分の手で広めたいと思えるか」という3点において

「好き」

といえるような会社を探しきるべきだったと思う..。

もともと、僕はどんな思いで入社を決めていたのか。

きちんと、人に説明するために文字に起こしていた理由が発掘できたので、
恥ずかしいが、その理由を批判的にみてみよう。そしてどうしたらよかったの考えてみる。

思慮不足な理由その①:理念の社会貢献性が高くて、それに共感したから

実際、入った会社は、理念でかっこいいこと言っても、全然、目の前のお客様のためにならないことをやっていたわけで。
理念共感で選ぶのって、実はかなりリスキー。理念ではなく、事業がどういう背景と目的によって作られたものなのか、そこに着目しないといけない。だから、理念とビジョン共感は、必ずその事業との関連性をセットで見たほうがいい。多くの会社は、やはり儲かるための事業展開にならざるを得ないと思う。

もちろん、会社側としては「いやいや、この事業で稼いだ金でやがて理念に向けて突き進むんですよ」といった説明の仕方をする。もちろん、そういう考え方もあると思う。

ただ、個人的には納得いかなかった。

会社説明会では、ある意味学生を洗脳するために、ビジョンや企業理念を語る人事は多いが
いくら雄弁な人事がいても、それが現場に浸透しているかどうかは別問題なので注意が必要だ。

じゃあ、どういう観点で企業をみればいいのか

中途社員の入社理由に理念共感があるか
結局、前職場、中途採用では、理念とのマッチング等一切みていなかったようだ。たくさんの中途社員の方と話をしたが、
皆、「~な問題解決をしたい」とか「会社のビジョンに惹かれた」等ではなく、会社の成長フェーズや環境を理由に入ってきいる人ばかり。採用側も、価値観のすり合わせ等は大して重要視してないだろう。
ホントに自分が理念共感を理由の一つとして入社するなら、中途社員に入社理由を聞いたほうがいい。そこで、「給料がいい」とか「裁量度が高くて、成長できそう」なんてばかり理由が返ってきたら、たぶん、そんなに理念とか重要視していない会社。もしくは口だけいってて体現できてない会社。

ミッションドリブンな理由で入社を決意すると、後悔しますよ。

思慮不足な理由その②:組織に多様性がある

組織の多様性があるのって、まぁ、そりゃ凝り固まっているよりはいいだろうけど、なんか、意思決定としてあげる理由では絶対にないよね。今時、新興企業であれば、色んな会社から集まってくるのが当たり前で。定着率が90%越えの老舗企業にでも入らない限り、ベンチャー企業の人材なんてどこも多様だよね。
「うちの社員は優秀です」って、言わないベンチャー企業はないよね。

それなのに、内定受諾の瞬間には「多様性のない組織はリスク」「内定先は名だたる企業からすごい人たちが集まっているすごい企業なんだ」みたいな、分かった口効いていた自分ほんま救えない。
ある組織が強いかどうかを測るうえで、バックグラウンドに多様性があるとか、有名企業から来ているとかは、本当にたくさんある評価軸の中での、たった一つのものでしかないはず。

まぁ、こういう打算的な理由をあげて入社を考えていた時点で、
本当に別に、入りたい!って強く思えるわけではなかった企業だったんだな、ということを今更理解している。

じゃあ、どういう観点で企業をみればいいのか

中途社員でも、長く勤めたいと思っているかどうか。 
中途社員に、「今の時代って、割と転職が当たり前みたいになってきてはいますが、~さんとしては、だいたい何年ぐらいは勤めたい!みたいなイメージってありますか」って聞くべきだと思う。

ここで、「いや~、転職はよっぽどのことがなければしないかなぁ。今のところはずっと勤めたいと思っているよ。」みたいな返答が返ってきたら、強い組織だ。

ベンチャー企業において、強い組織かどうかを測る軸は色々あると思うけど、一番シンプルなのは「社員が辞めずに、ずっと残り続ける会社」だろう。
人が頻繁に離れていく会社は、結局社員への知識とスキルが蓄積しないので、そんなに高いパフォーマンスが発揮できない。結果として、兵隊の量や、兵隊の稼働時間の長さで勝負することになてしまう。

したがって、中途社員であっても、会社に愛着を持っていてそんなに簡単に人が辞めない会社。
人は外からはたくさん入ってくるのに、そんなに簡単に抜けていったりしない会社。
openworkとかエン転評判に、そんなに恨みの募ったようなコメントが少ないといいね。

思慮不足な理由その③:人気の会社じゃなかったから

...僕の入った企業は、まぁ、まだそこまで名が通っているわけではない成長中の新興企業。リクルートグループやDeNAなどと比べれば、知名度はかなり劣る。
なんか、みんなが入りたがるような、人気企業ではなくて、だれもいかないところに行きたかった。ただ、それだけ。なんとなく裁量権あるところに行きたいけど、
皆が行きたがるようなところには行きたくないっていう、天邪鬼な理由。

ただ、今思えば..。「この会社の知名度・人気度」をベースに意思決定を行ったところで、仕事と自分の幸福度が相関するってのはそんなにないはずで。
世間で数少ない人気企業に入ったとき、「自分の存在意義意を、会社のネームバリューに見出しているつまらない人」が多くなるのは避けたいからって、選ぶのはありかもしれないけど。
でもそれって結局、つまらない人たちを避けるためっていう、割と働く環境の幸福度を考える上では、わりと消極的な、十分条件でしかなさそう。

じゃあ、どういう観点で企業をみればいいのか

HPや会社説明の資料を見ただけで、何をやっているか、何がやりたいのかよく分かる会社。変なカタカナとかが少なくて、落ち着いて会社の事業や理念を説明しているところはアタリ。
 
人気の企業でなくても、
人気の企業にみせかけたり、ブランディングにお金をかけて、人を集めている会社は多い。

ただ、それらの行為は本質的ではない。良い企業というのは、よく考えられた独創的な仕組み=ビジネスによって、価値を上げていることだ。その会社が手掛けているビジネスに本当に価値があり、「その事業は面白いわ!」って言ってもらえるような事業の場合、人は紹介や反響でも集まってくるものだ(もちろん、採用戦略は必要だけど、過度な演出やブランディングは必要ないということ)。

事業における差別化がうまくいってない、そんなに新しいことや革新的なことができていない会社であるほど、
会社のHPだったり説明会で派手目なことをやる。ぼやかす。雰囲気でなんかすごそうと思わせる。

結局、そういう所に惹かれて入ってくる人材は、そういうもん、ってことだからねぇ。

思慮不足な理由その④:新しく事業を創ろうとしている

もちろん、新規事業が立ち上がるような環境は、ビジネスを学ぶには良い所のだろう。一切の新規事業が立ち上がらない所と比べれば、任せられる経験や、責任も大きくなる。
ただ、わずかな間だが働いて、「新規事業」という存在、概念自体に全く意味はないとわかった。大切なのはその内実だ。

新しく事業がたちあがったって、その事業コンセプトに共感できないとか、社会にとって役に立つのかイメージできないような可能性もある。とりあえず、会社としては一層の成長と拡大を志向しているから、何か事業を立ち上げる、ていうこともある。今追い風の産業にとりあえず入っとくぞ!みたいな。

新規事業がたくさんある≒若手にチャンスがある と、まぁ捉えられなくもないけど...
その中身を見て、自分が手掛けたい仕組みになっているのか、考えたほうがいい。

新規事業やりたいとか、新規事業がある企業で働きたいっていうのは「結婚したい」っていうようなもの。
いくら「結婚したい」と言っても、誰が相手でもいい、ってわけじゃないでしょ。結局相手の中身を見る。

結局、その企業のビジネスのロジックに納得できなければ、いくら新規事業が立ち上がろうと
面白いって思えないんだよ。

じゃあ、どういう観点からみればいいのか

今ある、会社の1つ1つのビジネスモデルをよく見て理解できるまで調べること。その仕組みや顧客への価値提供の在り方にいいなって共感できるかどうか。

結局のところ、会社の儲け方、事業の在り方というのは、社長の価値観に等しい。それに強く共感できなければ、
いくら新規事業が立ち上がったって面白くもない。

入社前に、現場の営業マンに質問してみよう。「~の事業は、どういう仕組みでお金を稼いでいるのですか」「~の事業が顧客に提供する価値は何ですか」「A社の事業が他の会社に勝っている背景や理由はありますか(シェアで負けててもこう聞くようにする)」

このあたりの質問を数人にすれば、どんな感じで儲けている事業なのかはなんとなく分かる。
それで、違和感があればやっぱり入社はやめた方がいい。

特に違和感がなければ価値観としてフィットしているのだと思う。

思慮不足な理由その⑤:社員数が少なく、まだ新卒採用を始めて数年しか経っていない。

 新卒採用を始めて数年であり、社員数が少ない企業であれば、自分の及ぼす影響が大きい方が面白いだろう。
ただ、結果としてエンドユーザーに支持されるものを作れているか、それが一番重要なポイントなのである。結果として、自分が広げていく価値のあるサービスの拡充に携わっていると思えなければ、全然エネルギーの沸いてこない人間だった、僕は。
価値のないビジネスに裁量権もって関わったって、そういうビジネスを拡大していく手法しか身につかないのではないか。

じゃあ、どういう観点から企業をみればいいのか

 もちろん、若い企業であれば、その方がいい。ただ、大事なのは、企業として掲げている事業コンセプトに、自分が深く共感できるかどうか。そのために、自分が若いうちから裁量権をもって関われるのなら、本当に楽しいだろうが...。その会社を広げていく一手を担いたいと思えれば、いいと思うよ。

思慮不足な理由その⑥:今後の成長が見込まれるか

 会社が成長しているのは、そりゃ選ぶ上での当然の前提。GDPは下がっているけど、売上高を右肩上がりで伸ばしている企業はたくさんある。売上高が伸びているっていうのは、入社を考えるうえでの必要条件でしかなく、前提のようなもの。
うちはずっと売上が伸びてて~と言われても、そんなに強く惹かれなくたっていい。

じゃあ、どういう観点から企業をみればいいのか

 その会社が成長しているとはどういうことなのか、その中身をよく考えた方がいい。実は、その会社がすごい、ということではなく、業界に参入している全員登り調子、早期参入したもん勝ち、っていう場合もある。その中で、ただ営業マンの数を増やしているだけなのかもしれない。実は、成長と社会貢献が直結しておらず、ガンガン開拓先を広げているだけなのかもしれない。..とかね。

じゃあ、決定的に大事な理由って何??どんな観点で企業を選べば、いいのか??

 <個人的な、会社に選び「好き嫌い」の条件>
 大事なのは「お客様・業界・社会の役に立っているか」ということが、今の自分の頭でもよく分かること。そして、その事業コンセプトにいいなって思える、面白いなって感じること。
新しく仕組みを作ろうと奮闘していること。競争が激しくても、差別化による戦略を取っていく企業。社員の時間投入量や行動量によって、戦いに勝つ!!みたいな意識ではなくて、別の価値を創ることに意識を傾けることのできること。会社の成長、事業の成長ということばかりでなく、その事業を広げる社会的な意義や意味がいきわたっている組織。社員が会社とその事業を愛している人が集まっている。会社を踏み台ではなく、自分たちがやっている事業が人のためになると、信じている組織。やっていることは、決して古めかしいことではない。変化を楽しむ姿勢がある。自分たちにとっての利益・数字を追うのではなく、お客様にとってのメリットを追及する姿勢があること。


そんな企業に入りたいですね。って、働きながら思った。

本人の市場価値ベースで職場・企業の「良し悪し」を語る「転職の思考法」

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法


前読んだ本に、「転職の思考法」がある。面白かったけど、この本は、「どんな仕事をしていると自分はハッピーなのか」分からない人のために、「厳しい資本主義社会を生き抜くためのキャリアアップ転職論」を説く本なんだな、と思った。

自分の仕事の価値観云々ではなく、社会から判断される価値「ビジネスパーソンとしての市場価値」を重要視し、それを向上させるための転職のロジックを語る。 もちろん大切な観点。ただ、僕は、わりと、「市場価値」とか「ビジネスパーソンとしての成長」みたいな所で、企業を選び、そして失敗した側の人間である。
※もちろん、この本においては、やりたいことがあればそれをやったらいいという記述がある。ただ、大抵の人間はそれが分からないから、自分自身のが「どんな状態でいることが好きか」考えて転職せよ、という。


伸び悩んでいる業界には行くな、伸びている業界に行け。見せかけではなく、本当に新しいことをやっている企業を発見して、そこに行け、という。日本のビジネスパーソンたちがしっかりと実力を身に着けることがれば、働く上での自由度があがり、いつでも転職できる、という状態になる。そんな人が増えていくほど、この社会はより健全になるだろう、という趣旨には賛同する。

ただ、もっと、市場価値で測れない基準で、職場を選ぶこともあるね、という、別の考え方があること自体は、今回の退職を通じて学んだ。
技術資産や人的資産がそんなに蓄積しなくても、業界の生産性が少なくても、ハッピーに暮らしている人はいるわけで。逆に、自分の市場価値がしっかりと高まるような経験が積める職場であっても、自分の信条と、会社がやっていることが合わない、ということもある。

やっぱり、ハッピーに働くのって、本や仕事で読んだことをそのまま生かせるなんてことは、ほとんどなくて

*どんなことをしている時にハッピーだったのか。それはなぜか
*どんなことをしているときに不幸だったのか。それはなぜか

っていうことの、具体と抽象的な思考を繰り返しまくって、それで分かった自分の価値観と、できる限りフィットするような会社を選ぶことでしか
自分の幸せなキャリアは切り開けないのだろうなぁ。

働くって難しいね。30歳くらいまでにはハッピーになれたらね。



スローキャリア

スローキャリア

こっちのほうが好きかな、転職論としては。会社に依存しないで生きていくんだよ、という前提では近い部分もあるけど