一日一つ、変わってく

上京して働く読書好きのITエンジニア24歳が日々を豊かにするために考察

優秀な人が多い職場だけど退職した理由

先月、A社を退職した。

社員さんは、めっちゃ良い方ばかりだったのだが、会社の方針がことごとく合わない。

一人一人は優秀で、親切で行動力のある人が多い。
ただ、そう人たちが集まってやっている事業が、組織が、社会にとって良いものと思えなかった。


最初は僕がビジネスに向いていないのかな、と思った。仕事って、こんなつらいものなのか、修羅道のような世界なのかぁ、と悲しみに打ちひしがれていた。社会経験が少ない部分、自分が弱っちい人間なのか、夢ばかりみて現実がわからないヤツなのか、判別がつかなかった。会社の経験が一つしかないわけだから。

ただ、いろいろ尊敬している先輩方や友人に話したところ、「お前がビジネスに向いていないというか、その会社に合ってないんだと思うよ。」という言葉をたくさんいただいた。
「うーん、うちの会社ではおばけやの言うようなことはないかなぁ」って皆が(僕が相談した人は)言う。

どうやら、同じビジネスの世界でも、会社によって、顧客への向き合い方、社員への向き合い方は変わるようだ。やっぱり、僕の信条に、今勤めている企業は合わないのだ、と判断せざるを得なかった。

仕事をしながら、お客様と、その業界に迷惑をかけている感覚がとても強かった。
自分がこの会社の成長に貢献するほど、関わるお客様に何らかの摩擦を生むのであれば、これ以上頑張れない...。
そういう気持ちが僕の心を埋め尽くした。

僕は、基本的には組織の価値観や命令には従って動くマジメ君である。学級委員とかを先生に根回しされてやるタイプ。人よりも多く行動し、時間をかけて動いた。
しかし、会社の価値観で行動するうちに、自分の心が悲鳴をあげていた。社会に一ミリでも良い変化を起こしていると信じられなかった。

端的にいうと会社のやっている事業は競争が激しくて、忙しすぎた。だから、丁寧に顧客に向き合っていられなかった。
売り切り型のビジネスが多かった。

会社としても、かなりスピードを上げて、売り上げを上ないと、たちまち他社にシェアを取られてしまう。潰れてしまう。
だから、仮にちょっとは顧客に迷惑がかかっても、急ぎ足で受注数を稼がないといけない。
会社が存続していくために、合理性のある判断ともいえる。

マーケティング上は、ちょっとは出遅れたって、
顧客に中長期的に支持されるようなサービスにして、ゆるやかに支持を得ていくほうがいいのだろう。

ただ、一度猛スピードで走りだした列車が簡単には止まれないように
事業や会社も、そのやり方を変えることは簡単ではない。一度急成長と急拡大を志向した会社だ。
社内ではいつも「ベンチャー」「ベンチャー」「ベンチャー」という言葉で沸き返っている。

実際に、この業界、短期的な志向で動いている企業が多くいる。
どこの企業もサービスも似たりよったりで、同じ種類の摩擦を生んでいるようだ。

お客様が喜んでいるか、怒っていないか、不満が無いかなんていちいち確認する暇はない。次の客を探して売上を立てたほうがいいに決まっている。
競争の激しい業界であるからこそ、そういう働き方になってしまう。

会社は、ある意味生き物だ。サイボウズの社長の言葉を借りれば「モンスター」である*1
当たり前だが、死ぬこと(倒産や事業撤退)をヨシとして見ている会社などない。少しでも自社のミームを広げるために、長く存続するために、会社としては社員全体を鼓舞する。

だから、いろいろなA社のロジックも、ものすごい筋の通ったものだし、業界の特性上、仕方なのないことだとわかっている。
論理的に、スキがあるわけではない。

だからこそ、合わないと感じるんだ。

どうしても、目先の売り上げよりも、お取引のあったお客様に対するケア、
顧客開発を行うときも、相手にフラストレーションを与えることが多い。わりと強引なやり方。

お客様や業界に一定の迷惑がかかることを前提としたビジネスなのだとすれば、自分の命を、そんな仕組みの存続と拡大に投資することに、なんの価値があるのだろう。

もちろん、みんな、それぞれどこかで折り合いをつけて働いているのだと思う。
売り上げが上がるのが面白い、たまには感謝されるのが面白い、会社をみんなで成長させていく感じが面白い、と。
そもそも、完ぺきなビジネスなどない。良いものを作るという姿勢と、たくさん売るという姿勢は基本的には相反する。


ただ、1つの事実は、その会社のやり方どうりに動くとで、僕の幸福度はみるみる地に落ちていったということだ。
事業を拡充させていったときに、ハッピーになる社員や顧客が増えるどころかむしろ減る。
そんなビジネスをやっている意味は、会社の成長のため以外にあるのかな、と思ってしまう。
※もちろん、会社からお金をいただいている、ということを忘れてはならないが。給与をいただいている以上、会社のため、という理由だけでも、頑張りきるのが本筋なのかもしれない。

今手掛けている事業は、そんな簡単に途中離脱できるもんじゃない。僕みたいな人間が、一人勝手に離脱するのは勝手なのかもしれないが、
一度始めたレースを降りることは、会社にとって、死を意味することになる。

だから、会社として、事業としては一生懸命走りながら、お客様や社員との間にキズや摩擦を生み出しているとしても、その走りを止めることはできない。先に撤退した方が死ぬ。だから、ライバルがたくさんいる中で、だれよりも早く、多くの金とシェアを稼がないといけない。そうしないと、会社として終わってしまう。だから全力で走りきる必要がある。

こんな仕組みを頑張って維持することに、実際問題何の価値があるのだろう。今、この会社が事業から撤退したとして、本質的に困る方は少ない。むしろ、生み出している摩擦の方が多いのでは、と思うくらいに。
若輩者ではあるけど、やはり僕は、ある事業の意義として、それが「会社の成長・存続のため」だけでなく、「社会にとってどう必要なのか」という理由がほしい。

ましてや、人手不足と言われるこのご時世、もう少し、ためになるような仕組みを広げることができるのではないか。だから、辞める決断をした。顧客や業界に迷惑をかけながらも、存続、成長を志向したくない。

ゆるやかでもいいから、社会の役にどこかで立っているような仕事を探そうと。

僕は、A社の人らみたいに、会社をデッカクするとか、自己を成長させるとか、数字を達成するとか、そういうことを面白がれない人間だ。
「会社をデッカクした先に、何があるの?誰がどうハッピーになるの?経営陣?」
「もちろん、成長自体は楽しい行為だと思うけど、そんな環境で成長を遂げる意味ある?将棋をやりたい人が、トライアスロンのスキルが身につくっみたいな感じなんだけど」
という思考をする。

あと、人が良い、というのにも耐えられない。

皆、僕に結構声をかけてくれて。人間的に嫌な感じ、という方々はほとんどいない。

もっと頑張ることを応援してくれるし、ゆくゆくは会社を担う若手人材...と期待されるのが辛かった。
これまでは、わりと組織のため、誰かのため、っていうモチベーションで生きてきた人間だが、
「この組織の成長事態に貢献したい」とは思えなかった。

一方で、向こうはそれを期待してくれているから

長い間、相手の気持ちを裏切り続けられない。

であれば、機会があれば転職することは間違いないことだったので、

長い間、居続けるよりも、早く身を引いたほうが、僕にとっても会社にとってもいいのではないか。

会社空間に少しでもいれば、僕個人へのコミュニケーション、教育コストがかかる。

会社に貢献しようと思わない人間になってしまったら、もう、身をひくほかない。

僕は基本的に、自分の所属している組織の発展を思って、行動するタイプの人間だった。クラス委員とか、応援団とか、部長みたいな立場は、「この中では、僕がやったときに一番ハッピーになるだろうから」といった動機で動いた。

特段、まとめ役やリーダー的なポジションが好きなわけではなかった。その所属している組織のためになることが、いつも僕のエンジンを点火させてきた。

ただ、勤めていた会社では、会社のために頑張ろうとは、とても思えない。
色んな部署や事業部によって、もちろん見える景色は違うだろう。しかし、やはりお客様の満足度よりも、お金や売り上げが優先的になっていくのは見えていた。
そんな事業で、プレッシャーが営業マンに課せられ、みんなあくせく奮闘していた。

なんのために?

会社としては、そこで得たお金で、会社のビジョン・理念を実現する、と言っていた。確かに、その通りに違いない。やがては本当にそうするのだろう。世の中のビジネスは綺麗ごとだけではやっていけない。きちんと、お客様によろこんでもらえるような瞬間はどこかにある。

ただ、将来的に会社がやりたいことをやる、という手前勝手な理由のために、
今のお客様や業界に迷惑をおかけする論理には納得できない。

だから、辞めた。

人が良くても、事業やビジネスのロジックが肌にあうかどうかは、わからない。